電波観測の目的と特徴

流星電波観測のメリットやデメリット、そしてそもそも流星電波観測によってどのようなことがわかるのかを紹介します.

電波観測の目的

  • 天候に左右されず確実に流星群活動を捕らえる。
  • 流星の突発出現を捕らえる。
  • 昼間に活動する流星群を捕らえる。

電波観測の強み(メリット)

流星電波観測のメリットは何といっても,天候に左右されず,24時間観測できることにあります.世界中の電波観測結果を統合することで,流星群の観測時は輻射点高度に左右されることなく観測を続けることができるようになり,「流星群の全容解明」ができます.また,目的に掲げたように,「突発流星群の監視」も実現できます.

曇りでも雨でも,日中でも流星観測可能

なんといってもこれが一番のメリット.「天気」や「日中かどうか」を基本的には気にする必要がなくなります.

手軽で現地にも運べる

部品の状態であれば,望遠鏡のような重いものではありません.また大きさもアンテナによっては小さいので,どこかへ持ち運ぶのも楽です.

パソコンで24時間流星観測

現在は,自動で観測できるソフトがありますので,パソコンが用意できれば,24時間体制で流星観測を行うことができます.日中お仕事で忙しい方や,夜はしっかり眠りたい方など,臨機応変な集計ができるのも大きな特徴です.

電波観測の弱み(デメリット)

デメリットとしては,流星電波観測と眼視観測との関連については,いまだ確立しておらず,絶対量(密度や流量)をはかることができません。現在,様々な研究が進められていますが,この確立が電波観測発展のカギとなることは間違いありません。

群流星と散在流星の判断ができない

眼視観測と異なり,電波観測では流星ひとつひとつの特性は詳細にはわかりません.得られている流星エコーが群流星なのか,それとも散在流星なのかを区分することはできません.

ノイズや飛行機も受信される

電波観測では,普段見えないものが見えます.それが電波です.上空には電離層があり,飛行機も飛びます.場所によってはこれらを受信することもあります(画面上は容易に判別できます).また,周辺の電化製品や近年ではメガソーラー設備のノイズ,海外放送局の混信など,様々なノイズを受信してしまうことがあり,これらを根本的に解消するのは難しいでしょう.

光学観測との比較が難しい

エコー数はわかりますが,眼視観測でいうZenithal Hourly Rate (ZHR)はわかりません.ただし,近年このZHRへ変換する試みがされており,ある程度は統計値から近似できています.

流星の入射角によって,反射特性が出る

流星エコーは,送信局からの電波が流星に散乱されて観測地点に届きます.この流星の地球への突入角度によって,流星エコーが受信しやすかったり,しにくかったりします.現時点でこの補正方法は確立していません.流星エコーが少ない場合に,それが本当に流星数が少ないのか,それとも反射特性によるものなのかをよく考察する必要があります.

電波観測にも光学観測にもそれぞれメリットとデメリットがあります.どちらが良い悪いではなく,各観測方法の特性を理解して観測・集計・分析することが大事です.

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