やぎ座流星群(7月)の基本情報・観測条件

7月末にピークを迎えるやぎ座α流星群に関する紹介です.

やぎ座α流星群とは

やぎ座α流星群とは,夏休み早々ピークを迎える流星群で,1時間あたりの流星数(HR)は,時折5個を越える時があるものの,通常は3個程度と少なめです.この流星群は対地速度が遅いので,ゆっくりとした流星であることが特徴です。時折,経路の途中で何度も爆発を伴うような火球が観測されます。
流星電波観測では,みずがめ座δ群と活動時期も極大日も重なるため,みずがめ座δ群とこのやぎ座流星群を分類するのは不可能です.ただ,眼視観測の結果から,この頃電波観測で数が多い主たる要因は,やぎ座流星群ではなく,みずがめ座δ群の影響だろうと推測されています.

やぎ座α流星群に関する情報

名称(和名) やぎ座α流星群
学術名(コード) α-Capricornids (CAP)
極大太陽黄経 127°
極大時輻射点 赤経 = 307° / 赤緯 = -10°
出現期間 7月3日~8月15日(極大時刻は年によって違う.観測条件を参照)
性質 極大出現数(ZHR):4,光度比2.5,対地速度: 23km/s
母天体 ?候補はあるが未特定

※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構のデータを優先

極大夜の観測条件(2023~2025年)

7月 JST 極大時刻
127°
月齢 コメント(眼視観測)
2023年 7月31日 12 満月前の月がある.深夜2時頃月が沈む.月とは反対を見よう
2024年 7月31日 24 深夜1時過ぎには月が昇る.夜半前が好条件
2025年 7月31日 5 23時頃には月が沈む.夜半以降は好条件で観測できる

※電波観測では,特に月明かりの影響もなく,極大時刻の影響なく7月20日頃から8月5日頃まで観測できます.
※月齢は7月30日0時頃です.時刻は日本時(JST).

やぎ座α流星群の歴史

やぎ座α流星群の歴史はおそらく,その性質からしてかなり古くから出現そのものは存在したといわれているようですが,記録としては19世紀の放射点一覧に掲載されて以降になります.みずがめ座δ群と極大時期は重なるものの,対地速度が全く違うのでその分離は比較的容易で,20世紀には観測記録や研究がなされています.
母天体に関する議論は現在も決着はしておらず,候補として,小惑星(2101)Adonisか45P/Honda-Mrkos-Pajdusakovaがあがっています.

出典

  • HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
  • A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)