オリオン座流星群(10月)の基本情報・観測条件

オリオン座流星群について,基本情報や,2023年以降のピーク時刻等観測条件や見る際のポイントなどを,目で見る眼視観測、昼夜天候問わず観測できる電波観測のそれぞれの観点で提供しています.

オリオン座流星群とは?

オリオン座流星群とは,10月にピークを迎える流星群で,対地速度が速いため,明るい流星が多いことが特徴です.ピークはなだらかで,10月21日付近にピークを迎えます.2006年及び2007年に通常より活発な活動が観測されています.

電波観測においては,対地速度が速い関係上,捉えられる流星数は伸び悩み,年によっては微増程度しか検出されない年もあります.2006年及び2007年はそのピークを明確に捉えています.エコー数は伸びませんが,ロングエコーが多いのは魅力的です.また,ロングエコーのピークとエコー総数のピークが異なる年も多く,流星物質の宇宙空間分布を知る上では興味深いデータが得られる流星群です.

オリオン座流星群について

名称(和名) オリオン座流星群
学術名(コード) Orionids(008 ORI)
出現期間 (IMO)10月2日~11月7日
(IPRMO)10月20日~10月24日
ピーク太陽黄経 (IMO)208°
(IPRMO)208°.6
※ピーク日時は年によって違う.
ピーク時放射点 赤経 95° / 赤緯 +16°
特徴 (IMO)極大出現数(ZHR):30,光度比2.4
(IPRMO)ActivityLevel=0.3,FWHM= -2°.5/+2°.0
母天体・対地速度 1P/Halley,V=66km/s

[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先

極大夜の観測条件(2023~2030年)

10月
JST
極大時刻
208°.0
月齢 条件
(眼視)
条件
(電波)
コメント
2023年 10月22日09時 7 Good Good 22日に日付が変わったころから夜明けまでが好条件
2024年 10月21日15時 19 Bad Bad 満月過ぎ+ピーク時刻はオリオン座が地平線下で観測条件悪い
2025年 10月21日21時 0 Best Best 月明りナシ.ピーク時刻もまずまず.眼視も電波も好条件!
2026年 10月22日03時 11 Best Best ピークは夜間で月は沈んだ後で好条件.電波も好条件.
2027年 10月22日10時 22 Bad Normal 放射点近くに月がある.ピークは日中.放射点が低く電波も微妙
2028年 10月21日16時 4 Normal Bad ピークが夕方.夜半前から月明りはなく条件はまずまず
2029年 10月21日22時 14 Normal Best ほぼ満月.ピーク時刻は日本で夜間.電波は好条件
2030年 10月22日04時 24 Good Best ピークは薄明直前.下弦過ぎの月があるが条件はまずまず
  • 月齢は10月22日です.情報はこよみのページより.
  • ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
  • 時刻は日本時(JST).
  • 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,BestGoodNormalBadの順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.

オリオン座流星群の歴史

オリオン座流星群の記録は西暦288年に中国の観測者による記録が残っており,その後も中国を中心に585年,930年などの記録が残っています.また,日本の記録もしばしば見受けられます.一方で,流星観測が昔から盛んだったヨーロッパではあまり古い記録は残っていません.
1970年代に1986年の1P/Halley彗星が回帰するのを前にかなり熱心な研究が行われたようです.結果的に突起すべき突発的な出現は見られませんでした.その後もこの流星群についてはZHR15前後の活動が続いています.

2006年に比較的活発な活動が観測され,その後2010年頃まで電波観測でもその活動が見受けられました(電波観測では観測しづらい流星群のためあまりエコー数が例年は伸びない).特に2006年・2007年は明瞭に観測されました.

オリオン座流星群の観測結果

過去の流星電波観測によるオリオン座流星群の観測結果を収録しています.

出典

  • HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
  • A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
  • Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2014)
  • 2023 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2022)
  • Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
  • Moedeling the past and future activity of the Halleyids meteor showers (A.Egal et al), Astronomy & Astrophysics (2020)