流星を電波を使って解析する流星電波観測

 
   
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流星群と彗星

 さて,流星群について先ほど説明しましたが,「ある一点から四方八方に流星が流れる」ということについて少し掘り下げてみたいとおもいます。それには,ハレー彗星やヘール・ボップ彗星のような「彗星(すいせい)」が大きなポイントを握っているのです。

放射点の存在

 少し昔話をしましょう。2001年に,しし座流星群が,日本を中心とするアジアで1時間に2000個近い流星の大出現を見せ,日本中を驚かせました。
 時はさかのぼり1833年,2001年と同じようにしし座流星群が大出現を見せ,当時の人々を驚かせました。この時,大量の流星がしし座のある一点を中心に出現していることが観測され,「放射点」の存在が確認されました。以前は「輻射点」とも呼ばれていましたが,現在では「放射点」が主流となっています.

彗星との関連性

さて,流星天文学はこのしし座流星群の大出現をきっかけに幕を開け,1866年にも同様にしし座流星群の大出現が観測された後,イタリアのSchiaparelliがしし座流星群やペルセウス座流星群の流星ひとつひとつが宇宙空間でどのような運動をしているか計算しました。すると,不思議なことに,それらの流星は,我々地球と同じように太陽のまわりを一定の周期(地球は1年)でぐるぐる回っていたことがわかりました。ただし,地球や火星のように太陽の周りをきれいな円を描く運動ではなく,楕円を描く運動でした。


 楕円を描いて太陽の周りをまわるのは流星だけではなく,有名なものは「彗星」でした。先ほどの流星の軌道と,いくつもある彗星の軌道とを照らし合わせると,しし座流星群に属する流星の軌道は,テンペル・タットル彗星と,ペルセウス座流星群に属する流星はスイフト・タットル彗星とそれぞれ軌道が似ていることがわかりました。その後,流星群と彗星との関連性について研究が進み,流星群は彗星が放出したダスト(チリ)が地球軌道と遭遇することによって引き起こされるということがわかりました。この理論からすると,ある一点で地球の軌道と彗星の軌道つまり流星群の軌道とぶつかるので,年中ではなく特定の時期に流星数が増えることも理解できます。このように流星群を生み出した彗星のことを「母天体(あるいは母彗星)」と呼んでいます(学術名ではParant Cometなのでたぶん母彗星が正しい)。

彗星が作り出す「ダストストリーム」

 さて,もう少し突き詰めてみましょう。彗星から放出された大量のチリは,彗星からの放出速度は彗星が太陽の周りを回る速度(公転速度)に比べるとたいへん小さいものなので,彗星とほぼ同じ軌道を群れをなして彗星と共に公転します。何度も公転を重ねると,放出速度や放出方向の微妙な差が,彗星本体からチリが離れていくことになり,チリは徐々に彗星軌道全体に分布していきます。すると,彗星の軌道上には流星物質が常に流れていることになります。この流れを「ダストストリーム」と呼んでいます(以前はダストチューブとも呼びました)。このダストストリームは,彗星の公転方向と同じ方向へ流星物質が流れているいわば"流星物質の川"です。ここに地球が突入するとどうなるのでしょうか。
ダストストリーム 川の流れとダストストリーム
 ちょっと別の例を持ってきましょう。上の右図のように川が流れています。どこまでいってもまっすぐで幅が変わらない川です。でも遠くに行けば行くほど川幅は狭く見え,最終的にはある一点から川が流れているように見えます。そしてそこに木の葉を流してみましょう。木の葉は川に沿って曲がることなくずっとまっすぐ流れるものとします。すると,川がある一点から流れているように見えるのと同じで,木の葉もある一点から流れてくるように見えます。
 実は流星群も同じ原理で,「ある一点から四方八方に流れる」ように見えているのです。つまり,ダストストリームは川。そしてその川を流れているのは流星物質。その中に入るので,川の上流はある一点から流れてくるように見えます。その一点が放射点で,ダストストリームの流星は,地球から見ると,必ずその一点を中心に四方八方に流れるように見られるのです。もうひとつわかりやすい例は,雨の中,透明な傘をさしてその上を見上げると,雨は空から平行にすべて降っているはずなのに,なぜか頭の天辺を中心にして降っているように見えます。これが「ある一点から四方八方に流れる」ように見える理由です。

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