観測データ集計方法の例(活動グラフを作ろう!)

流星電波観測の取得画像をカウントしたら,次はデータの集計・解析をしていきましょう.ただしこれは一例に過ぎませんので,みなさんで新しいスタイルを構築してみてください.前提条件として,山本道成氏が開発したHROreport又は有田氏が開発したMROviewから出力される60分のcsvファイル (report60.csv)まで用意できているものとします.

手順1:必要ソフトのダウンロード

グラフ作成用Excelファイルを以下からダウンロードしてください.(ZIP圧縮ファイルです)

Excelファイル(ZIP圧縮)  : https://www.amro-net.jp/database/mkgraph/mkgraph-win.zip

手順2:report60.csvを用意

次にreport60.csvファイルもHROreport又はMROviewより生成しておきます。

手順3:データの入力処理

まずmkgraph-win.xlsを開くと,4枚のシートから構成されています。下図のように「input」「cut」「paste」「graph」の4シートです。

mkgraph-1

最初のステップはinputシートにデータreport60.csvを入れます。まずcsvファイル(report60.csv)を開きましょう。

mkgraph2

今回のフォーマットは列の順番がこの順番でないと対応していません。また,時間は連続していることが条件です。たとえば2002年11月11日11:10~12日23:00までデータ行がないと,その分処理がずれます。おそらくNo Observeというコメントが付いて行自体は消えないはずですが,消えている場合は補ってください。

次にデータの部分だけコピーします。右クリックでコピー(あるいはCtrl + C )しておきます。この時,最後のコメント欄(L列)も必ずコピーしてください。また,一行目の項目行はコピーしないでください。必ず,二行目以降のデータのみをコピーしてください。そしてその状態でreport.xlsの画面に行きます。この時,コピーをクリックした後で絶対にセルに記入をしたり,Escキーを押したりしないでください。コピーが解除されます。選択範囲を間違えた場合はEscキーを押して選択し直してください。
mkgraph3
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続いて、report.xlsのinputシート画面に行き,カーソルをB2のセルにあわせ,右クリックし,データを貼り付けます(Ctrl + Pでも可能)。この時に「貼り付け」の文字が薄くなっている場合はコピーを失敗していますので,再度前の手順に戻ってコピーをしてください。
mkgraph4
(画像クリックで拡大)

さて,貼り付けるとデータがコピーされたと思います。inputシートでは再度,データが全部そろっているか確認することができます。A列は,1日0時台から31日23時台まで1時間毎になっています。0100は1日00時を意味します。従って,貼り付けられたデータはTimeのB列にきますから,左のA列と右のB列の時間が最終的に合っていれば大丈夫です。

これでデータのinputが終了です。

手順4:データの出力処理

さて無事にデータが入りました。次にシートを「cut」にしてください。全面灰色だと思います。ちなみにこのシートには入力できないようにシートを保護してあります。さて,ここで,行の「1」の数字の上,列の「A」の数字の左の四角のスペースにマウスを持っていき,クリックします。すると,全面選択の状態になると思います。そこで同じように右クリックでコピーを選択します。

コピーをした状態で,シートを「paste」に変えます。そして,A1のセルで「右クリック」「形式を選択して貼り付け」を選びます。すると右下のような画面が出てくるはずです。ここで,「値」をクリックしてOKボタンを押します。

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OKを押すと,pasteシートにデータがバーッとコピーされます。訳のわからない列もありますが気にしないでください。次に観測データのない時間帯の処理をしますが,貼り付けてから「Ctrl + H」キーを押してください。すると下のような画面が出てきます。

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ここで,上段の「検索する文字列」に「blank」と入れてください。「データが空ですよ」という意味のblankです。さて,置換後の文字列には”何も入れないでください”。右側の「すべて置換」を選択。するとblankと書いてあるセルを空白セルに変換します。これで出力処理が終了です。次はいよいよ仕上げのグラフです。

手順5:グラフの完成

実はもうすでにグラフ自体は完成しています。4つのうちの残りのシート「graph」シートを開いてください。3枚のグラフがそこにあり,下のようにグラフが形作られているはずです。

mkgraph7

もしできていない場合は,どこかでコピーや貼り付けを間違えています。再度確認してください。

グラフの調整

無事上のようになっていたら,グラフへ手入れをしていきましょう。段取りとしては以下の順です。
(1) 日付(30日の月か,31日か,それとも28日か)
(2) タイトル
(3) y軸第一軸の統一

日付の調整

まず日付の確認からしましょう。デフォルトでは,31日に設定してあります。しかし,30日の場合はどうするのか。その場合は,3つあるグラフのうち,一番下のグラフへまず移動します。そしてそのグラフをクリックしてください。そして右クリックすると左下の図のように「元のデータ」というのがあります。それをクリックすると右下のようになります。

mkgraph8

その次に「all echoes」を選択し「編集」を押す.すると右側にあるような画面が出てきます.

mkgraph8B

系列名がall echoesになっていることを確認してください.系列値のデフォルトは「paste!$N$2:$N$265」のはずです.これを以下の通り,各月の日数に応じて変更してください.

一ヶ月が31日の場合

デフォルトのままで問題ないのでこの設定は必要なし。

一ヶ月が30日の場合

一か月が30日の場合は,最後の数字「265」を「241」に変えてください.

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一ヶ月が28日の場合

一か月が30日の場合は,最後の数字「265」を「193」に変えてください.

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一ヶ月が29日の場合

一か月が29日(うるう年)の場合は,最後の数字「265」を「217」に変えてください.

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上記のように「all echoes」の編集を終えたら,次は同じように「long echoes」の系列値を「all echoes」と同様に日数に応じて変更.そして,最後に「横(項目)軸ラベル」の「編集」を押して,「軸ラベルの範囲」で同じように日数に応じて変更してください.

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タイトル等の編集

グラフのタイトルには,何月か,どこの観測で誰が観測したのかという情報が入っています。自分専用に書き換えてください。グラフの文字の上でクリックするとグラフ全体が選択できます。そして,もう一度クリックするとカーソルが現れるので,文字を普通に編集してください。これを上旬・中旬・下旬すべて行ってください。
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そしてもう一度クリックして編集! 月の部分も変えるのを忘れずに。。。

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軸の編集

最後はy軸第一軸の統一です.これは,グラフが3つで,軸の間隔は自動で決まっています.一月の中であまり変わるのも好ましくないので,一番多い上旬なら上旬の値にy軸をそろえてしまおうというものです.第一軸というのは左の軸で,第二軸が右の軸です.左は全エコー数を示し,折れ線グラフですが,右側はロングエコー数で棒グラフです.

それではまず,y第一軸の数字のあたりで右クリック.そこから「軸の書式設定」を選択.最近のExcelでは右側に設定画面が出ます.

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軸の書式設定で,例えば例だと50になっていますが,この月は上旬が最大100となっているので,100に揃えたい場合は,50を100としてください.

文章で書くと非常に長くなりましたが,実際やってみると,2分か3分で終わります.貯まったデータを是非グラフ化して,自分のホームページで公開してみてはどうでしょうか.グラフにすることで見えてくるものもあります.集計したら一度グラフにしてみてください.

エラーバーの付け方

エラーバー(誤差範囲)はどこかのシートであらかじめ計算しておきます.ツールでは「cut」シートの「Error」という列(E列,K列,Q列)で計算してあります.さて,エラーバーをつける場合は,グラフ全体を一度クリックすると,右側に「+」のマークがありますので,そこをクリック.「誤差範囲」の「その他のオプション」を選択.もしその後,「all echoes」か「long echoes」かどちらにエラーバーをつけたいか聞かれたら,「all echoes」を選択.

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右側の設定画面が出てきます.「ユーザ設定」「値の指定」で「正の誤差の値」の右端のアイコンをクリック.

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すると値の設定画面になるので「cut」シートに移動し,Errorの範囲を選択(直接値を入力しても構いません).選択すると選択範囲が反映されるので,右端のアイコンをクリック.「正の誤差の値」と同じ値を「負の誤差の値」にも入れる.そして「OK」

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(画像クリックで拡大)

グラフにエラーバーがつきます.

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完成です!

数値ではわからなくてもグラフでは一目瞭然の現象があります.この先の解析に進むステップとしてまずこれをやってみましょう!