流星群の一生

流星群は,彗星によって生み出されていると書きました.それではその後,流星群は,どのような一生をたどっていくのでしょうか?流星群の一生について少し解説します.

彗星のふるさと「オールトの雲」

彗星のふるさとは,冥王星よりもずっと外側にある「オールトの雲」と呼ばれる場所で,そこには無数の彗星のもととなる天体が存在しています.ある時に近くを恒星が通過したりして何らかのきっかけが与えられると,そこにあった天体はオールトの雲から太陽の引力によって引き寄せられ,その途中で木星や土星などの大型惑星の引力によって軌道が変えられ,太陽系内に留まり,太陽の周りを私たち地球と同じようにぐるぐる回る天体となります.この頃の彗星はまだ若く,大量のダストをもっています.そして,太陽に近づくたびに大量のダストを放出していきます.

流星群の一生

若い頃の彗星はダストの放出を開始してから間もないので,彗星の周辺にダストが集中します.そして時を重ねると,ダストは広く分布していき,ほぼ均一の流星物質が彗星軌道上に分布していきます.そしてさらに時を重ねると,彗星がもっていたダストは枯渇し,ダストを放出しなくなります.一方,軌道上に分布していた流星物質は,木星や土星などの引力によって彗星の軌道から外れ,太陽系内をさまようようになります.このような散逸化が進むとやがて彗星軌道上には流星物質がなくなり,流星群は消滅します.そして彗星の軌道から外れ,太陽系内をさまよっている流星は,ダストストリームとは無関係になりますので「散在流星」と呼ばれる流星となり,観測したとしてもどの流星群に属する流星かはわからなくなってしまいます.

流星群の一生

周期流星群

周期流星群とは,流星群としてはまだ若く,彗星の周期に連動して流星活動が活発になる流星群のことです.しし座流星群10月りゅう座流星群が該当します.周期流星群の場合,まだダストが母天体付近に集中しているので,母天体が地球に接近したタイミングで流星数が爆発的に増えます.そして逆に,彗星が遠ざかってしまうと流星数は極端に少なくなります.しし座流星群は33年,10月りゅう座流星群は母天体の周期は6.5年ですが,地球との位置関係上2周期毎つまり13年ごとに活発な活動を見せることが多いです.これらの流星群はダストストリームの中に飛び込むというよりは,ダストトレイルとの接近・交差によって流星数が増加する傾向にあります.

定常流星群

定常流星群とは,毎年ダストストリームと地球が交差することで,彗星の位置に関わらずそれなりの出現を見せることができる流星群です.ペルセウス座流星群ふたご座流星群が該当します.この流星群の母天体は,ある程度の期間,太陽の周りを回り,流星物質の濃度がほぼ均一になっている流星群です.とはいえ,ペルセウス座流星群でも時々ダストトレイルとの接近もあり,その時は流星数が増えます.


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