流星を電波を使って解析する流星電波観測

 
   
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観測の種類

 さて,流星の電波観測がどういうものかは,おわかりいただけましたでしょうか? それでは,実際流星の電波観測はどのような種類があるのか説明したいと思います。

散乱の種類

 流星は電離柱で反射すると説明しましたが,厳密には,散乱が起こっているわけです。みなさん次のような経験はないでしょうか。「強力な懐中電灯を夜に外でつけたら,光の帯ができた」これは,光が大気中の粒子によって散乱しているのです。流星が発光した際に電波があたると,電波もそこで散乱が起こります。その散乱には二種類あります。

前方散乱 (HRO, FROはこちら)

 電波を送信している送信局と,受信局が異なる位置になります。つまり,電離柱に対する入射角で受信地が決まります。現在日本で主流になっている流星の電波観測 (HRO) はこちらの散乱を利用しています。海外では,日本で従来盛んであったFM放送局を利用したFROや,TV放送のFM音声を利用したTROが行われています。世界的にも,観測地が多く,現在の流星電波観測は主にこちらが表立っています。前方散乱は英語ではForward Scattering 。

後方散乱 (レーダー観測はこちら)

 電波を発信して自ら受信する,送信局と受信局が同じになる散乱です。昔からレーダー観測として世界で行われてきました。近年は,前方散乱を利用した流星電波観測が主力なってきていますが,チェコやオーストラリア,日本の信楽にあるMUレーダーなどは有名です。この観測では電離柱に対して垂直に当たることが条件です。電波を発信してから,その電波が戻ってくるまでの時間を測定することによって,その物体への距離を測定することができます。英語ではBack Scattering。

使用する電波による違い

 上記のように,電波の散乱の種類は二つありますが,今回みなさんが行う流星の電波観測は,前方散乱による観測を行います。さて,そのような中で,流星の電波観測は,以下の3種類があります。それぞれ特徴があります。しかし,これから流星の電波観測を始める方には,HROをお勧めします。なお,各観測方法について,実施の仕方は別ページにて詳しく解説します。

HRO(Ham-band Radio Observation)

 現在日本で,高校生からプロまで広く使われている観測方法です。用いる周波数は53.750MHzで,福井工業高等専門学校の前川公男氏が24時間休みなく発信して下さっています。自動観測ソフトも開発されており,初心者でも観測は容易です。この観測方法は,1996年に,流星電波観測者とアマチュア無線家の交流会で試験観測の計画がなされ,その後の試験観測の後,現在の安定した観測がなされるようになりました。日本の流星電波観測の主流はこのHROです。また現在は,28.208MHzの観測もなされており,比較による新たな研究も始まっています.

FRO(FM Observation)

 HRO以前に行われていた観測方法で,みなさんがラジオで聴く,FM放送局の電波を用います。最近は放送局の多局化で観測が難しくなってきました。しかし,条件さえ整えば実施は可能なため,現在も観測を続けて見える方もおられます。この観測方法はFM放送局を使用するからといって,お手持ちの普通のラジオではまず聞こえません!きちんとした受信機とアンテナが必要です。念のため....。

MURO(MU Radar Observation)

 中・高層大気を観測する目的で用いられていますが,流星の電波観測としても用いることができます。周波数は46.500MHzです。出力が大きく,多くの流星数を捕らえることが期待されますが,毎日発信されていないため注意が必要です。

VOR (VHF Omni directional Range)

 この観測方法は2002年より本格的に行われるようになってきました。HROの53.75MHzに比べて周波数が108MHz〜118MHzと高めになっています。このVORは,超短波全方向式無線標識施設の略で,航空機に対してこの施設からの方位情報を提供するための施設です。周波数の安定性があまり良くないのが欠点ですが,HROとの比較観測としては良い試みといえるでしょう。

日本は既にHROの時代

 日本での流星電波観測は,このページの先頭の歴史にも記述したように,FM放送局が増えたことから観測は困難な状態です。また新たにはじめようとする方には,受信機や記録器が高価で入手しにくいことから,もはやHROの時代です。HROは安価で手軽にはじめられるのに加えて,FROより捕らえられる流星数が格段と多いです。そのため,これからはじめる方にはHROをお勧めします。