ふたご座流星群(12月)の基本情報・観測条件
ふたご座座流星群(12月)について,基本情報,2023年以降のピーク時刻等観測条件,いつ・どこを見たらよいのか?という観測のポイントを提供しています。目で見る眼視観測、電波観測それぞれの観点で記載。
ふたご座流星群とは?
ふたご座流星群とは,12月にピークを迎える年間三大流星群のひとつで,一晩に見られる流星数としては年間最大の流星群です.ピーク時刻や月齢条件が整うと一晩の流星数が500個を越える時もあります.1時間あたりの流星数も40個から60個,多いときには100個近くに達します.最近は明るい流星や流星痕の出現も観測されており,とても印象的な流星群です.
電波観測では,年間最大の流星群で,豊富な流星エコーを観測することができます.日本では,放射点がほぼ天頂を通過することから,電波観測特性の「天頂効果」が起き,放射点が南中する1時~3時付近ではエコー数はガクッと落ち,また元の出現数に戻ります.
ふたご座流星群について
名称(和名) | ふたご座流星群 |
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学術名(コード) | Geminids (004 GEM) |
出現期間 | (IMO)12月4日~12月17日 (IPRMO)12月9日~12月16日 |
ピーク太陽黄経 | (IMO)262°.2 (IPRMO)262°.0 ※ピーク日時は年によって違う. |
ピーク時放射点 | 赤経 112° / 赤緯 +33° |
特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):120,光度比2.6 (IPRMO)ActivityLevel=3.5,FWHM= -1°.3/+0°.5 |
母天体・対地速度 | (3200)Phaethon,V∞=35km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構のデータを優先
極大夜の観測条件(2022~2030年)
12月 JST |
極大時刻 262°.2 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
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2023 | 12月15日04時 | 2 | ![]() |
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月齢・ピーク時刻は久々の好条件.一晩中楽しめるでしょう |
2024 | 12月14日10時 | 14 | ![]() |
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ほぼ満月と日中ピークで条件は悪い.電波は14日未明ピーク |
2025 | 12月14日17時 | 25 | ![]() |
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2時頃に月が昇る.13日の日没後から月が昇るまでが勝負 |
2026 | 12月14日23時 | 6 | ![]() |
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月は22時には沈む.それ以降の条件は良好.電波も好条件 |
2027 | 12月15日05時 | 17 | ![]() |
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月がふたご座にあり,ピークが薄明開始頃.電波は好条件 |
2028 | 12月14日11時 | 29 | ![]() |
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ピークは日中.ただし月明りはないので14日未明は好条件.電波もまずまず |
2029 | 12月14日17時 | 9 | ![]() |
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月は1時に沈む.それ以降は好条件.ピークは夕方.電波も微妙 |
2030 | 12月15日05時 | 20 | ![]() |
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かに座に下弦前の月がある.ピークは薄明開始頃.電波は好条件 |
- 月齢は12月15日0時頃です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,
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の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
ふたご座流星群の歴史
年間三大流星群のひとつとして,一晩見られる数では年間最大を誇るふたご座流星群ですが,19世紀以前の記録は皆無に等しく,1862年等の記録はあるものの出現数は少なく,ほとんどの記録は1900年代(20世紀)に入ってからです.90年代初頭もあまり流星数は多くありませんでしたが,1930年~1950年頃に徐々に流星数が増加し,1970年代からは現在の出現数まで上昇してきました.
これだけの流星数の変化は,19世紀以前にはふたご座流星群の元となる流星物質の流れが地球と接していなかったためと考えられており,以前は21世紀にはふたご座流星群が見えなくなるとまで言われていました.しかし,その後,母天体が発見され,その母天体(3200)Phaethonの軌道が2223年に再接近するという結果がわかると,当面はこのまま見え続けるのではないだろうかと言われています.現在もその活動は活発そのもので,2000年頃からは,これまでふたご座流星群ではなかなか見られなかった明るい流星(火球)も見られるようになり,活発な活動が継続しています.
また,流星電波観測においても,2000年代より2010年代の方が活動レベルは高くなっています(ご参考:過去のふたご座流星群流星電波観測結果).ロングエコーも観測されており,今後の活動に期待です.
一方で,21世紀後半には19世紀後半並みまで流星活動が衰えるという説もあり,まだまだふたご流星群の経年変化はよくわかっていません.いずれにしても,経年変化を観測することが,ふたご座流星群の将来の出現を見ていく上でとても重要といえます.
ふたご座流星群の観測結果
ふたご座流星群の流星電波観測結果を収録しています.
出典
- HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2014)
- 2020 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2019)
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)