2023年12月度月例報告(RMOJ)

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2023年12月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.

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2023年12月度トピックス

12月の流星群はふたご座流星群の他,こぐま座流星群やアンドロメダ座流星群,46P/Wirtanen彗星関連群の可能性など,話題の多い一カ月でした.

ふたご座流星群

2023年のふたご座流星群は,メインピークは例年通りλ⦿=262°.00(12月14日23:30JST)頃にピークを迎えた様子.ピーク値はActivity Level(AL)=6.2±0.3と過去10年平均値AL=4.5と比較すると約1.5倍となりました.杉本弘文氏による推定ZHRrは188±24に達しています.

2023年ふたご座流星群
2023年ふたご座流星群結果(左:Activity Level Index、右ZHRr

一方で,ピーク前の太陽黄経λ⦿=260°.0付近(12日23:30JST前後)にサブピークを検出しました.Lorentz曲線で要素分解すると,主活動は,λ⦿=262°.1でAL=5.5、ZHRr=180,サブピークがλ⦿=260°.0でAL=1.0、ZHRr=55と推定されます.

2023年ふたご座流星群構成要素
2023年ふたご座流星群活動を2要素分解した結果(左:Activity Level、右:ZHRr
サブピークは46P/Wirtanen彗星に関連する出現なのか?

2023年は46P/Wirtanen彗星に関連する流星群の出現が,λ⦿=259°.7~259°.9で起きる可能性があると予想されていました(Vaubaillon et al. 2023).CBETにも第一報として光学のデータと共にこの増加が、「46P/Wirtanen彗星によってもたらされた可能性」として掲載されました(Jenniskens et al. 2023).

当プロジェクトでは,様々な角度からこの増加要因を考察しており,結論として「増加のほとんどがふたご座流星群によるもの」と思われ,「46P/Wirtanenによる活動は、あったとしても小規模である」と結論づけています.背景として,①観測条件に恵まれるオーストラリアの観測地点では顕著な増加がみられていないこと,②放射点高度がふたご座流星群と重ならない時間を使い,かつ46P/Wirtanen彗星関連群と予想された放射点情報を用いた場合に増加がほぼ見られないこと,そして,③放射点高度が0度だとしてもCHRrベースで60~70規模あること等を挙げています.

一方で,少なくとも当プロジェクトが集計を開始した2002年以降に類似の活動は見られなかったこと,46P/Wirtanen彗星関連群の予想日時とふたご座流星群の予想外の増加が偶然一致したと片付けてよいのかなど,気になる点もあります.これらの結果については既に国際流星機構(IMO)の論文誌:WGNに投稿しております.

こぐま座流星群

こぐま座流星群は,12月23日1時JST付近で突発出現が観測されました.杉本氏による集計でも同時刻にZHRr=48という結果になりました.Vaubaillon氏によって当初想定されていたλ⦿=270°.24(23日2時JST頃)とほぼ同時刻になります.例年の活動は,λ⦿=270°.44でAL=0.2を中心とした活動とほぼ例年並みの活動で,ここから先ほどの突発出現の規模はAL=0.6,ZHRr=30程と推定されます.

2023年こぐま座流星群
2023年こぐま座流星群Activity Level Index(左:結果(灰色線は過去平均値)、右:2要素分解した結果(△が主活動、□がサブピーク要素、黒実線は△と□の総和))

 

アンドロメダ座流星群

12月3日未明に出現の可能性が予想されていたアンドロメダ座流星群ですが,特筆すべき活動は見られなかったようです.元々はλ⦿=250°(3日4時頃)付近といわれていましたが、通常値を超えるような活動とはなりませんでした.

2023年アンドロメダ座流星群
2023年アンドロメダ座流星群Activity Level

月例報告・Activity Level

流星電波観測会報(月例RMOJ)

Radio Meteor Observation in Japan No.266として更新.国内8地点11データを収録.
(藤戸健司様,杉本弘文様,坪井正紀様,中村知弘様,信太浩信様,大塚博隆様,鈴木浩様,小川宏)

2023年12月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)

RMOJのデータに加え,狩野正樹様のデータも加えて算出しています.2023年も12月上旬のActivity Levelが高原状に上昇しています.2022年も同様の傾向がみられており,過去にもこのような傾向があるため,どのような活動によるものかは気になるところです(参考:2022年12月月例報告).

2023年12月度 Activity Level
2023年12月度 Activity Level(国内データのみ、UT)

ロングエコー関連の報告

1日のロングエコー(国内統合)

2023年12月のロングエコーは,ふたご座流星群の活動時期,こぐま座流星群の活動時期に加え,12月3日のロングエコー数が多くなりました.特に3日のロングエコー数は前後の3倍近くに達しています.ただし,どこか特定の時間帯に集中しているというわけではなく,1日の間で「散発」していることから,何らかの流星群活動ではなく,偶然の可能性の方が高いようにも思います.

ロングエコー(12月度投稿数:–集計中–件)

2023年12月は全体で—件の投稿がありました.60秒を超えるロングエコーは–件.内,2分越以上は–件、3分以上が–個でした.

本リストはあくまでロングエコー掲示板などに投稿された数です.従って,報告数=出現数はイコールではあません.

*現在集計中*

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2023年12月度 Activity Level
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