みずがめ座δ流星群(7月)の基本情報・観測条件

みずがめ座δ流星群は夏休みに入ってすぐにみられる流星群です.本ページでは,基本情報のほか,2023年以降のピーク時刻や見る際のポイントなど観測条件について,目で見る眼視観測,昼夜天候問わず観測できる電波観測のそれぞれの観点で紹介します.

みずがめ座δ流星群とは?

みずがめδ流星群とは,7月末から8月上旬にかけて活動が見られる流星群です.この時期のみずがめ座流星群は,とても複雑な群構造をしており,4つの群で成り立っています.みずがめδ北群(NDA),みずがめδ南群(SDA),みずがめι北群(NIA),みずがめι南群(SIA).それぞれが極大を迎えますが,主力はδ南群(SDA)とされています.ただ,これらの群を区別するのはとてもたいへんで,これらにさらにやぎ座流星群も加わるため,やりがいがある反面,相当気合いを入れた観測をしないと正確な分離は困難です.通常,この時期のみずがめ座流星群というと,δ南群(SDA)を指します.
電波観測では,7月20日頃からその活動が顕著になります.とても明確に毎年観測されます.対地速度の関係か,5月のみずがめ座η流星群ペルセウス座流星群よりも流星エコー数としては多くなることがほとんどです.

みずがめ座δ流星群について

名称(和名) みずがめ座δ流星群
学術名(コード) Southern δ-Aquariids(005 SDA)
出現期間 (IMO)7月12日~8月23日
(IPRMO)7月19日~8月10日
ピーク太陽黄経 (IMO)125°
(IPRMO)127°.0
※ピーク日時は年によって違う.
ピーク時放射点 赤経 339° / 赤緯 -16°
特徴 (IMO)極大出現数(ZHR):20,光度比3.2
(IPRMO)ActivityLevel=3.0,FWHM= -2°.8/+5°.3
母天体・対地速度 96P/Machholz 1,V=41km/s

[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先

極大夜の観測条件(2023~2030年)

7月
JST
極大時刻
127°
月齢 条件
(眼視)
条件
(電波)
コメント
2023 7月31日 13 Normal Best 夜半過ぎ深夜1時頃に月が沈む.夜半~夜明け前が好条件
2024 7月31日 25 Normal Good 日付が変わる頃に月が昇る.夜半前が観測には好条件
2025 7月31日 6 Best Bad 半月手前で月明りは夜半前まで.ピーク頃の放射点は地平線下
2026 7月31日 16 Bad Normal 満月前の月が一晩中ある.
2027 7月31日 27 Normal Best 日付が変わる前に月が昇る.電波観測では好条件
2028 7月31日 9 Good Normal 夜半前に月が沈む.夜半前から夜明けが好条件
2029 7月31日 19 Bad Bad ほぼ満月で条件は悪い.ピーク頃の放射点は地平線下
2030 7月31日 0 Best Good 月明りは問題なく好条件.電波でもまずまずの条件
  • 月齢は7月31日です.情報はこよみのページより.
  • ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
  • 時刻は日本時(JST).
  • 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,BestGoodNormalBadの順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.

みずがめ座δ流星群(δ北,ι南北含む)の歴史

1869年~1898年にHR5.5の記録がありますが,それ以前の記録はほとんどなく,記録の主体は20世紀に入ってからです.特にι群に関しては20世紀半ば以降の記録が主体です.δ群の記録としては,1900年と1902年に顕著な活動を見せたようです.ι南群の顕著な活動の記録としては1982年の記録が残っています.
また,近年の研究から,みずがめ座δ群とι群の母天体は全く異なっているというのが定説で,δ群はしぶんぎ座流星群の母天体と同じ,96P/Machholz 1彗星の複合群であるという見解が主流です.
ここ数年では特異な活動は観測されていません.

みずがめ座δ南群以外の流星群について

冒頭記載の通り,この時期のみずがめ座流星群は4つの流星群で構成されます.みずがめ座δ南群以外の3つを紹介しておきます.いずれも,みずがめ座δ南群と比較すると小規模な活動です.2006年に国際流星機構による「新・主要流星群リスト」からはこれら3つは除外されましたが,日本流星研究会では,これら3つも流星群分類として取り扱い,報告時の群判定では使用するようにしています.

流星群名(和名) 学術名(コード) 極大 極大日 最大ZHR 赤経 赤緯 対地速度
みずがめ座δ北群 Northan δ-Aquariids (NDA) 136° 8月9日頃 ZHR=4 335° -5° 42km/s
みずがめ座ι北群 Northan ι-Aquariids (NIA) 147° 8月20日頃 ZHR=3 327° -6° 31km/s
みずがめ座ι南群 Southern ι-Aquariids (SIA) 132° 8月5日頃 ZHR=2 333°.3 -14°.7 34km/s

みずがめ座δ流星群の観測結果

過去の流星電波観測による結果を収録しています.

出典

  • HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
  • A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
  • Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2014)
  • 2023 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2022)

参考ページ