天文学会ジュニアセッション

3月19日に日本天文学会のジュニアセッションが開催されました。私も2000年の初回ジュニアセッションで後輩と一緒に発表しました(懐かしい…)。今回も60件ほどの発表があり、流星はもちろんですが、太陽や「天文の癒しの効果」までどれもとても興味深く眺めていました。





流星電波観測関係は3件

流星電波観測関係の発表は以下3件でした。私は午前中のポスターセッションに参加したので、いくつかコメントはしましたが、改めて以下感想です。

VOR と FM 放送を利用したペルセウス座流星群の観測(09P)

青森県立八戸工業高等学校さんの発表です。VORとFROを同時に観測し、それぞれの立ち居振る舞いを整理されていました。ペルセウス座流星群のピークがVORは明瞭だけど、FROはそうでもないという結果となっていました。
結果はともかくとして、この発表のおもしろいところは大きく2点「多周波数での観測」と「東北での観測」です。
発表資料はプログラム: セッションB 彗星・流星・小惑星の「09P」です。

「多周波数」はおもしろい

多周波数で観測することは実は結構おもしろくて、今回のように同じ流星群でもピーク構造が違うことがよくあります。今回の発表ではペルセウス座流星群でしたが、確か過去の研究ではふたご座流星群でも同じようにズレたような記憶があります。
周波数の違いと流星物質の質量との関係があり、周波数が違うと、検出できる流星の等級が変わるということです。実際はここに対地速度も関係するので、検出できる等級は、周波数・対地速度のそれぞれを見ていく必要はあります。

今回、結果をもう少し丁寧に見ないとわかりませんが、FROとVORとの違いが流星物質の質量分布を示しているとなるととても興味深いです。

[参考資料]
Research for the Characteristics of Meteor Showers from Multi-Frequency Radio Observation (Miayo and Ogawa 2003)

東北地方での観測

現在日本の観測地点は関東~西日本に分布しています。送信点と受信店を結ぶ線(ベースライン)は似た傾向になります。FROはほとんどのサイトが朝鮮半島の電波を受信しています。ところが、今回は大阪のFM放送局の周波数に合わせてあるため、ベースラインの向きが他地点とは大きく異なります。

ベースラインが違ったときに、流星電波観測で観測できる反射領域とアンテナの指向性などによってどの程度、捕らえられる流星群活動の変化に影響するかはとても興味があります。

最後に2点コメント

このように素晴らしい取り組みのため、2点コメントしました。(1)集計が日単位だったので1時間単位にしてみてほしい。(2)これから主要流星群が活動する時期なので是非継続してほしい。

電波流星をめぐって(10T)

國學院大學栃木高等学校・中学校のみなさんによる発表です。ふたご座流星群のビデオ観測と電波観測の同定を整理し発表されていました。個人的には、ビデオで観測された1200個を超える流星をよく見たなぁということに感動しました。同時率はビデオが4方向撮れているので、それを母数としたときに6%程度の同定率だったとのこと。個人的には妥当な線かなぁとおもいました。
発表資料はプログラム: セッションB 彗星・流星・小惑星の「10T」です。

電波観測と光学観測はあまり一致しない

一般的に電波観測と光学観測では同時流星数は低いことがわかっています。それは、アンダーデンスエコーを仮定すると、流星の地球への突入角度によって、入射角=反射角が成立する場所が変わること、そしてそのエリア(反射領域)が狭いことがあげられます。今回の結果はそれを裏付ける実証となるでしょうし、今後も継続することで、「流星電波観測が捉えている領域がどこか?」が見えてくると期待しています。

[参考資料]
流星電波観測反射領域
流星電波観測反射領域に関する研究・考察

最後にコメント

ビデオで得られている流星の群判定をしてみるといいと思います。同時が成立しているものが、流星群に属するものなのか違うのか、それによって同定率がどう変わるのか。

3大流星群の電波観測によるアンテナの向きの影響について(11S)

新島学園高等学校さんの発表です。残念ながら今回私はセッションで直接話す機会はありませんでしたが、ぜひ一度話してみたいと思いました。アンテナの向きによってエコー数がどう違うのか?というものです。水平に向けたアンテナよりも天頂を向けた方がエコー数が多かったようです。
発表資料はプログラム: セッションB 彗星・流星・小惑星の「11S」です。

アンテナの向きは観測できるエコー数に影響する

送信局と受信局の位置関係によって、アンテナの向きは観測できるエコー数に大きく影響します。眼視観測でいうと視界が開けている方を見るかどうか、街明かりがない方を見るとかそういうイメージですね。今回は送信局方向の水平と天頂方向でしたが、過去の研究では6方向。つまり、東西南北と天頂2パターン(エレメントが送信局に垂直と並行)。茨城高専や高知工科大で一時期行われていました。流星群によってパターンが違っておもしろいです。

[参考資料]
6方位HROによる流星電波観測と眼視・ビデオ観測の比較 (Yamamoto 2004)

とても興味がある結果

今回のポスターの中に「アンテナの向きが水平方向で観測された流星エコーはアンテナの向きが天頂方向ですべて観測された」という記載があります。実はコレ、結構興味深い結果です。過去私も水平と天頂はやったことがありますが、一致率まで出したことはありません。これを真面目に検証したことはたぶん誰もないんじゃないかな?とおもいます。とても興味深い!一致率が実は流星群が近づくと変わるとか変化があったりして…?とか?

もしこの記事を読んでいたら、ぜひ一度お話ししたいので連絡が欲しいなぁ~っておもいます。

差異が生じる原因を考える

今回はアンテナの向きの違いによるエコー数の差を発表されていましたが、ぜひ次回は何故この差が生じるのか?を考えてほしいとおもいました。

オンラインでの開催

今年も昨年に引き続きオンラインでの開催でした。オンラインにしていただくことで、私も昨年に続き聴講することができ、とても参加しやすくなりました。
ただ、口頭発表はオンラインでも違和感はありませんが、ポスターセッションはやっぱり現地がいいですね。顔を見ながら議論したいぁとおもいました。

[参考サイト]
第24回ジュニアセッション
日本天文学会ジュニアセッションについて
日本天文学会